騙し(だまし)の日本語の表現、言い換えをまとめてみた。

騙し

騙し(だまし)

騙し人、騙人、だましびと
創作の言葉

をび・き、おびき 【誘き】

古語

【文語】カ行四段活用動詞誘く」の連用形、あるいは連用形名詞化したもの

をび・く、おびく 【誘く】
他動詞カ行四段活用
活用{か/き/く/く/け/け}
だましてさそう。あざむいて引き寄せる。
出典太平記 一四
「遠矢を射させてぞをびきける」
[訳] 遠矢を射させて(敵を)引き寄せた。

[動カ四]だましてさそう。また、引き寄せる。現代語では「おびきだす」「おびきよせる」など、複合して用いる。
「客 (てき) を—・くは日文 (ひぶみ) の迎ひ」〈人・辰巳園・四・序〉

おびく【誘く】 だまして誘い寄せる。「遠矢を射させてぞ誘きける」(太平記 14)

 歴史的仮名遣いが「をびく」か「おびく」か未詳とある。これは大辞林(第三版)。

をびく【誘く】 だまして誘う。「酒盛りして、師高を誘き出して」(長門本平家 3)

 こちらは小学館の古語辞典(昭和41年発行の改訂新版!)

おび・く【▽誘く】
読み方:おびく
[動カ四]だましてさそう。また、引き寄せる。現代語では「おびきだす」「おびきよせる」など、複合して用いる。
「客(てき)を—・くは日文(ひぶみ)の迎ひ」〈人・辰巳園・四・序〉
[補説] 歴史的仮名遣いは「をびく」とも。

関連

す‐び・く【素引く/▽誘く】
読み方:すびく
[動カ五(四)]
1 弓の張りを確かめるために、弦だけを引く。
「弓ヲ—・ク」〈和英語林集成〉
2 誘う。気を引いてみる。
「けころを—・いたことはあったが」〈黄・景清百人一首〉
3 からだに、つっぱるような痛みが走る。痙攣(けいれん)が起こる。
「筋(すぢ)ガ—・ク」〈日葡〉

そび・く【▽誘く】
読み方:そびく
[動カ五(四)]
1 さそいをかける。だましてさそう。
「重々しく—・きかけると、酒井は事も無げな口吻(くちぶり)」〈鏡花・婦系図〉
2 無理やりに引っぱっていく。しょびく。
「山主公のお館へ、—・いて行くがおいらが役目」〈伎・名歌徳〉

いざ-な・ふ 【誘ふ】
(呼びかけて)誘う。 [訳] 御簾を巻き上げて、縁側にお誘い申し上げなさると。 (誘って)連れて行く。 伴う。

たら・し【×誑し/×蕩し】

たら・す【×誑す/×蕩す】
読み方:たらす
[動サ五(四)]
1 ことば巧みにだます。たぶらかす。
「女を—・すことがお上手ですのね」〈木下尚江・良人の自白〉
2 子供などをなだめすかす。
「泣く子を—・し」〈浮・一代男・四〉

たらし込む
読み方:たらしこむ
別表記:誑し込む

うまいことや甘いことを言ってだますことを意味する表現。単に「たらす」(誑す)とも言う。特に年若い異性をうまくだますといった意味で用いられる場合が多い。

すかし

すか・す【×賺す】
読み方:すかす
[動サ五(四)]
1 機嫌をとって、こちらの言うことを聞き入れるようにさせる。「子供を—・して寝させる」「おどしたり—・したりして行かせる」
2 言いくるめてだます。「弟を—・しておやつを取り上げる」
3 相手をうまくその気にさせる。おだてる。
「仲人(なかだち)のかく言(こと)よくいみじきに、女はまして—・されたるにやあらむ」〈源・東屋〉

すか・す 【賺す】
他動詞サ行四段活用
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①だます。だまして誘う。
出典徒然草 一二九
「幼(いと)きなき子をすかし、おどし」
[訳] 幼い子をだましたり、おどしたり。
②おだてる。
出典源氏物語 帚木
「『さてさてをかしかりける女かな』と、すかい給(たま)ふを」
[訳] 「いやまったくおもしろい女だな」とおだてなさって。◇「すかい」はイ音便。
③なだめる。なぐさめる。
出典源氏物語 早蕨
「さまざまに語らひ給ふ御様のをかしきにすかされ奉りて」
[訳] いろいろにお話しなさるごようすがおもしろいのでなだめられ申し上げて。

まやかし

まやか・す
[動サ五(四)]ごまかしあざむく。だます。「見物人を—・す」

いつは・り 【偽り・詐り】

いつは・る 【偽る・詐る】
[一]自動詞ラ行四段活用
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
うそをつく。それらしくよそおう。
出典徒然草 八五
「いつはりても賢を学ばんを」
[訳] それらしくよそおうのであっても賢人の行いをまねる人を。
[二]他動詞ラ行四段活用
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
だます。
出典宇津保物語 藤原の君
「事をいつはりて」
[訳] 事実を曲げてだまして。

欺き(あざむき)

あざむ・く【欺く】
読み方:あざむく
[動カ五(四)]
1 言葉巧みにうそを言って、相手に本当だと思わせる。言いくるめる。だます。「敵を—・く」「まんまと—・く」

化かし

化かし(ばかし)

サ行五段活用の動詞「化かす」の連用形、あるいは連用形が名詞化したもの。
不可思議な事象を起こす狸の能力。人間を騙し欺いて自身を守るためや、人間へのイタズラのために使われる。

ばか・す【化かす】 の解説
[動サ五(四)]《古くは「はかす」とも》人の心を迷わして正常な判断を狂わせる。たぶらかす。「狐に—・される」