Move Zero (Vol 1) by ジョン・バノンの感想、レビュー

Move Zero (Vol 1) by ジョン・バノンの感想、レビュー

ジョンバノンのセルフワーキングの作品を集めたDVDのボリューム1。

ボリューム2を先に見たのでこれが2つ目になる。

個人的には「Sort Of Pyschic」「Four Sided Gemini」「Perennial」が気に入った。
テクニックを使わないでいいので退職後に趣味でマジックを始めた年配の方などにもおすすめ出来る。

Move Zero (Vol 1) by John Bannon and Big Blind Media – DVD

Vol4まで出ている。もとは「Destination Zero by John Bannon (Book) 」と「Mentalissimo by John Bannon」と言う本。

今、4巻セットが安く売っているね。
Move Zero (4 Volume Set) by John Bannon and Big Blind Media – DVD $59.99

その他のレビューはこちら

MOVE ZERO VOLUME 1の内容

Collusion
Sort Of Pyschic
* Trickbag – Jay Ose False Cut
* Trickbag – Cross Cut
Ulterior
* Trickbag – Cut Deeper Force
Prophet Motive
* Trickbag – Deal & Cross Cut Force
* Trickbag – Spectator Ose Cut
* Trickbag – Remote Control
* Trickbag – Rosetta Control
Ion Man 
* Trickbag – Equivoque
Ban-nihilation
Four Sided Gemini
Perennial
* Trickbag – Equivoque

太字が作品でTrickbagというのがテクニックなどの解説。

気になった作品の感想

Collusion

2人の客に好きな数字を思ってもらい順番にカードをその数自分配り各自Jokerを置いてもらう。

Jokerの次のカードを取り出してからJokerをめくるとバリューとスーツ(マークの事)と書いてあり2枚のカードからそのバリューとスーツを合わせた1つのカードを決める。

先程の2人の数字を足した数を配っていくとその決めたカードが出てくる。

こんなマジック。マジシャンには有名な”Gemini Twins“で使う方法でカードを選んでます。

多少テクニックを使いますがシャフルしたデック(1組のトランプのこと)から始めることも出来る。

“Gemini Twins”の方法をあくまでバリューとスーツを決めるために使っているのが良いところでしょうね。”Gemini Twins”は自分でそのカードを選んだ感がどうも気薄に感じるようなのがあると思うのだけどこのカードがダイレクトに関わってこないので希薄なところが気にならなくなっているように思う。

そして全く繋がりのない事柄が偶然の一致(coincidence)したように感じる。

2枚のカードを選ぶのに使うJokerの裏にはバリューとスーツと書いた紙が貼ってああるのだけれどあればわかりやすいけど準備がいるから無くてもいいかな。

このマジックのクレジットだけど以下を上げていた。

このトリックを最初に発表したのがTheo Annemannで”Gemini Twins“と名付けたのがKarl Fulvesということなのかね?

Karl Fulves “Gemini Twins”,
More Self-Working Card Tricks(1984)

Theo Annemann, “Locatrick”,
The Jinx, no.39 (December 1937)

Sort Of Pyschic

パケットから客に好きなカードを覚えてもらう。
直感力(Intuition)のテストで客のカードがどちらに有るか二者択一を三回やる。本番でカットしたところから客のカードが出てくる。

有名な21カードトリックなどと同じ原理だけど二者択一なのと直感力のテストだと本意をずらしているのとリバースフェローを使っているせいで原理が分かりづらくなっている。

もしもっと分かりづらくするにはカルを使って完全に見えなくすることもありかなとも思ったけどどうだろうかね?そこまですることもないかとも思ったり。

もとはマックス・メイビンさんの作品で半分の8枚(これは16枚)でやる手順だそう。

これが倍の16枚になって最後はクロスカットフォースで2パターンになっているが最初は気づかずにあれ?なんでわかったんだろう?とまんまと騙されたのだった。

Jay Ose False Cutをたくさん使っている。(3つのパイルにカットしてから元に戻すやつ)

評価 : レパートリー入り

Ulterior

カード当てで客がカードを選ぶ時に「Cut Deeper Force」を使っている。

客がシャフル後に6枚取り出してその中から客が選択していき最後に残ったカードが客のカード。

普通に当てるのでなくバノンはミスコーリングして間違ったふりをしてから実は当たっていたという演出。

この当て方はちょっと単純だろうと思ったけどウケが良いのを見て考えを改めた。この演出を使ってみたいと思う。

Prophet Motive

マジシャンが最初に選んでおいたカードとその後よく混ぜた中から客が選んだカードが一致する(メイトカード)と言う現象。

よく混ぜてもらうので客からするとかなり不思議だと思うけどマジシャンからするともう一捻り出来ないものかと感じてしまう。

客の最後の選択はカットフォース。実演ではやっていないリバースフェロー(reverse faro)でのやり方も解説している。

客のするシャフルはロゼッタシャフルで実演ではやっていないリフルシャッフルでのやり方も解説している。

バノンが作品内でリマーカブルとよく言っている。どんな意味かと調べたら以下の意味だった。
remarkable
【形】
注目に値する、優れた、卓越した
目立った、並外れた、異例の

Ion Man

3種類のコインを使った予言のマジック
3枚から1枚選び表裏を決めたらそれが予言されている。

メンタルマジックだね。
52枚のカードと比べると6分の1の確率なので驚きは少ないんじゃないかと思うのだけどどうなんだろうか?私はメンタルマジックは演らないのでそこらへんはよくわからない。

Tail(裏)が選ばれた場合の解決方法はいまいちかな。

ここでは「Equivoque」エキボック、エキボク?が解説されている。マジシャンチョイスのことを「Equivoque」と呼んでますね。検索すると以下のような意味で出てきた。

equivoque
【名】
幾つかの意味に解釈できる言葉、曖昧な表現

この意味を見るとマジシャンズチョイスとは必ずしも一致しないような気もしますし、マジシャンズチョイスの一部という感じもするけどまあイコールとしていいのかな?

マジシャンが使うマジックの用語集

Ban-nihilation

サッカートリックになっているカードの予言
クロスカットフォースを使う。このフォースされるカードは客がシャッフル後に予言の2枚のカードに隠れて密かに加えられる。
2枚のカードをデックに表向きにバラバラに刺し込んでその間をカットしてもらうという面白い演出がされている。
その2枚のカードが予言のカードかと思いきや裏に貼り付けているポストイットに予言が書かれていてそれが当たっている。

ポストイットなど事前に準備が必要

Four Sided Gemini

最初のCollusionと同じ”Gemini Twins“の方法が使われている。Collusionでは最初の2枚が3枚目のカードの数字とスーツ(マークの事)を示しているわけだがこちらは最初の2枚と3枚目が同じスーツで最初にカードボックスに入れたカードも同じスーツと言う演出。

セットが必要だが多少のスキルが有ればセットなしでもいける。

私はGemini Twinsでの隣のカードのところがどうしても好きになれない(十分に錯覚的であることは承知しているが)のだけどこれは2枚を抜き出した後すぐにはカードを見ずに先に3枚目のカードを探す演出でそこに時間が費やされるためか、結果的には最初の2枚の選び方がどうであったかは記憶から薄れるようになっている気がする。

まあとにかく悪くないということ。

Perennial

客がシャフルしたカードの並びを見て予言を名刺の裏に書きます。

誕生日の月や日の枚数を配り、名前のスペルの枚数も配ります。最後にカットしてもらうとそこのカードが予言されているというマジック。

客がシャフルした並びから予言を名刺に書くという演出はVol2の「Leverage」と同じ。とてもいい演出だと思う。

誕生日の月日数やスペルを配る演出も個人と予言がまるで関係あるかのように感じるだろうからとてもいいと思う。

総評

どれも良かったけど「Sort Of Pyschic」「Four Sided Gemini」「Perennial」が特に良かった。この3つはいつでも出来るようにしたいね。

1つでもやりたいのがあれば当たりなのでこれは大当たりというところだろうか。まあ大当たりはいいすぎかな。中当たりぐらいで。

いちばん演らなそうなのはコインの「Ion Man」かね。別に悪くはないけどどうしても選択肢が少なく、メンタルマジックやメンタリスト演出の人向きかそれかちょっとしたテスト程度にやる感じだろうか。

どれも手先のテクニックを使わないので年配の人会社退職後にマジックを趣味で始めるような方おすすめできる。

もちろんプロでも十分に使えるレベルのマジック。

あとはVol3と4が未見だけどまだ購入していないので次の買い物あたりに購入しようと思っている。

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