本の感想

計算不可能性を設計する―ITアーキテクトの未来への挑戦 (単行本)
神成 淳司 (著), 宮台 真司 (著)

社会学者の宮台真司とITアーキテクチャーの神成淳司氏との対談本。

宮台さんは結構有名人だけど、簡単に紹介すると
15年ぐらい前になるかな、朝まで生テレビで援助交際や、教育問題などの議論で有名に。
その頃茶髪にカーラーコンタクトのいでたち。
フィールドワークを通じて、テレクラ、援助交際からオウムなどの宗教関係、少年犯罪や、憲法についてなど幅広く発言。
また、漫画、少女漫画、映画など、サブカルチャーに通暁する。
首都大学教授で、現在40代後半。

神成淳司は今回初めて知った。
プロフィールによると1971年生まれだから俺と同い年ぐらい。
地方の学生にITを教えながら、農業や中小企業などいろいろなところでIT技術の導入を手がける。
今年から慶応のSFCで教師をしているそうだ。

■内容
神成さんはITをいろいろなところに導入する。今まで人の手でしかできなかったことをITを駆使してコンピューターでできるようにする。
それと同時にそういったことのできる人を育てている。
で、社会学者の宮台さんはそういったことが進んでいくと、世の中どうなるのか、人はどう変化するのかを知りたい。
で、こんな感じにテクノロジーは変化していくから、人もこんな感じで変化していくんじゃないかなーってな感じかな。

■タイトル
で、そういった中でタイトルにある計算不可能性をどう設計するかってのが問題だと。
人は計算可能な世の中を求め、IT技術はそれを可能にするが、計算可能な世の中は驚きがないのでつまらない。なので人間が許容できる範囲で偶発性のようなものをプログラムし、現実を面白いものにしよう。
そういったことは一般の人々が意識することではないが、こういった優秀な神成さんや、社会学者のような立場の人は世の中の仕組みを造る時に重要なテーマとなってくるってなこと。
ちと違うんだがうまく説明するのは難しい。

まあ一般人にはあまり関係ないことのようだが、俺みたいにひねくれて世の中を見る人には、その中を設計している人の意図を知っていて損はない。

■感想
結論としてタイトルの「計算不可能性を設計する」という結びになるが、対談本で答えがありきで進められたのではないから、途中にはいろいろと興味深い話が出てくる。
地方のIT化や、IT業界に携わる者の物理的な経験の重要性、行政に携わる者のIT知識の向上の必要性、量子コンピューターの話、若い世代の可能性、アップル、マイクロソフト、グーグル、アマゾンの話、コンピューターの進化、セカンドライフの話から、災害シュミレーションの話。
チャットを使ったシンポジウムの話はITを使った今まで実現できなかったコミュニケーションの創出で、IT業界に携わる人には価値あるITの導入事例として参考になるだろう。

そしていつものように宮台さんの社会学的な考察があり宮台ファンにもお奨め。

宮台さんの本を読んだこと無い人にはわかんないところも出てくるかも知れないが、全部解らなくても大丈夫。
神成さんはわかりやすく、ITに興味がある人にはお勧め。

★4つ

■宮台真司のリンク
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Comments

“計算不可能性を設計する―ITアーキテクトの未来への挑戦 感想” への1件のコメント

  1. 91919のアバター
    91919

    『計算不可能性を設計する』の出版を記念して、
    二人の対談が開かれるらしいですよ。
    http://mixi.jp/view_community.pl?id=2280340